今から25年程前、新宿伊勢丹の向かいに奇妙な名画座がありました。
観客席の真ん中に丸い柱 があったのです。
ジャン=リュック=ゴダールやクロード=ルルーシュやトリュフォがよく上映されていました。
その館が無くなったかと思ったら、そのさらに反対側の大きな映画館が丸井にかわりました。
たしか、東宝の封切館だったと思うのですが…。
そういえば、桑名市に来て17年。
一度もいかないうちに地元の映画館がなくなりました。
かわりにマルチプレックスができました。
こちらは儲かる映画を見せます。
名画座ではありません。
やはり、世の中は数なのですね。
経済効果が伴わないと、なにごとも始まらないのか、いや、始 まっても継続できないのか…ある意味、それはそうですね。
銀座並木座もなくなったらしいです。
もはや、映画は文化を創らないのでしょうか。
単なるノスタルジーの中に、しまいこまれてし まったのでしょうか。
それもいいのかもしれませんね、むしろ。
経済効果と映画の理念を二つ携えて映画を 創るより、しまいこまれたものを時々出してみてみるのが、いいのかも知れません。
自分自身を、創造的に保たねばならならない、と考えたとき。
それこそ、自分自身をノスタルジーの中にしまい 込んでしまったら、もうおしまい。
ただ、ノスタルジーの中にしまいこまれた情景が今の自分自身の創造力の 源となることも確信できます。